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MY FAVORITE COURSE

山手線という補助線を頼りに、ランニングパックと一緒にゆっくり“さまよう”。最短ルートを外れた先にある商店街の匂い、再開発の気配、片手でつまめる東京の味。フィルムメーカーにして、毎週、東京の街を走るコミュニティ「土曜倶楽部」を主宰する前田聖志さんにとって、ランニングは記録ではなく、都市のヒューマンネイチャーに触れながら、自分の移動を取り戻すための時間だ。都市を走る面白さと、ランニングパックが広げてくれる新しいランニングの楽しみ方とは?

コース紹介

距離:24km
- ジョグリス
- 東京駅
- 上野 アメ横
- ひみつ堂
- 田端〜駒込の踏切
- おにぎり ぼんご

主な立ち寄りスポット

ひみつ堂

〒110-0001
東京都台東区谷中3-11-18
HP: http://himitsudo.com
IG: @himitsudo132

おにぎり ぼんご

〒170-0004
東京都豊島区北大塚2-27-5
HP: https://www.onigiribongo.info
IG: @ouchidebongo

−前田さんは、毎週「土曜倶楽部」というランニングコミュニティを開催してらっしゃいます。もともとそれをはじめたきっかけから伺ってもいいですか。

タイミング的には、新型コロナウィルスの緊急事態宣言があけた時ですね。その時は、もともとランニングコミュニティにしようという意図はなかったんです。とにかく誰かとコミュニケーションを取りたいという欲が高まってました。最初は近所の人たちと始めたんですが、そこに来て2回目の緊急事態宣言。でもせっかく生まれたものを自粛でなくしてしまうというのはもったいないと思って、ZOOMを使って継続しましたね。朝9時とかに集まって、自己紹介して、おのおのが走り終わったらコーヒーを飲みながら話す。それを毎週やっていたら人がどんどん増えていったという感じです。

−いまでは様々な国籍の人が参加しているようですが、それは意図してですか?

そうではなくて、ZOOMでやっていた時から、留学生や転勤してきた外国の人たちが参加してくれていたんです。その後、コロナが落ち着いて海外からの渡航が自由になったタイミングで、彼らの友人を中心に旅行者もジョインしてくれたという流れですね。

−土曜倶楽部ではどういう所を走るんですか?

人が沢山集まった時は、道の広い国立競技場のあたりですが、40〜50人くらいの時は渋谷のスクランブル交差点に行ったりします。あのエリアは特に観光客の参加者が喜んでくれるんですよ。ピクニックシートをランニングパックに入れて走って、最後に代々木公園でみんなでコーヒーを飲みます。いろんな国の人が集まっていますが、ランというひとつの共通項があるので、自然と仲良くなれます。

−東京マラソン出場経験もありますし、コミュニティでも毎週東京を走っています。ある種、東京のランを知り尽くしている人でもあると思うんですが、東京を走ることの良さってどんなところだと思いますか?

僕はトレイルランニングもやるんですが、トレイルランニングはネイチャーで、東京ランはヒューマンネイチャーを感じられます。街の人の流れとか、営みも見ることができる。でもそのすぐ側には大規模な再開発で工事中の場所があってスクラップ&ビルドが始まっていたりします。東京という大都会のダイナミズムを感じられるのが、僕は好きです。

−たしかに、世界的に見てもコントラストが高い都市かもしれません。今回のループ(コース)はどうでしたか? 山手線のそばを走るシーンなどもありましたが。

僕自身も好んで山手線周りを走ったりするんですが、ひとつひとつの駅の距離が近いので、そんなに頑張らなくて良い。駅がエイドステーションのようなイメージで、休憩しながら走れますから、初心者の方にもおすすめできますね。それにくわえて、いたる所に駅があるわけですから、ルートの設定も思いつきで変えたり、自由度があります。行き当たりばったりでも許されるというか。あとはなにより見せ場が多いです。商店街とか、気になった場所で立ち止まるきっかけがたくさんある街だと思います。スナップしたくなる場所というか。山手線は東京の大動脈ですから、今の東京の息吹を感じられるのが魅力だと思います。

−ランニングパックは普段から使うというお話でしたが、どんなものを入れているんですか?

タオルなどの基本的なもの以外だったら、本を入れたりします。途中で気持ちの良い公園があったら立ち寄って、その場所にまつわる文学作品を読んだり。それこそ東京という街を舞台にした文学作品はたくさんありますから、走りながらそういうバックグラウンドに触れると、奥行きが出ますよね。ランニングパックがあるから、本に限らずランには直接関係のないものを持って行ける。欲張りになれるギアですね。

−ランニングパックがあるからこその走り方ってどういうものだと思いますか?

僕はなにかの“ついで”で走ることが好きで、例えば本屋さんに行くとか、ワンウェイで映画を観に行ったりすることもあるんですが、そういう時はランニングパックを持って行きますね。ランニングパックを持つということは“余白”を生むということだと思っています。いまって、行きたい場所があるとすると、Googleマップで調べて、そこまでの最短距離で行きますよね。その点、ランニングパックを背負って走ると、寄り道ができるようになります。例えばルートから離れた場所に、大きな木があったとしたら、ちょっと行ってみようか、という意識になれます。そうやって街を彷徨えることこそ、東京という大都会を走る面白さでもありますし、その自由を与えてくれるのが、僕にとってのランニングパックですね。

前田 聖志

宮崎県都城市生まれ。東京在住。映像クリエイターとして、ドキュメンタリーやブランドフィルムを軸に、WIREDやGQをはじめ、さまざまな企業やメディアと協働。「7年ごとの記録(NHK)」は、アルジャジーラ国際ドクメンタリー映画祭で上映され、ギャラクシー賞テレビ部門・奨励賞受賞。ラン歴15年を超えるランナーであり、ランニングコミュニティ「土曜倶楽部」を主宰。

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