変わりゆく景色と変わらない手仕事をたどる
五十嵐ソフィー
走っていると、頭が澄んで、景色は細やかにほどけていく。モデル業の傍らで、本を自らの手で編んでいく。五十嵐ソフィーさんに取ってそんな二つの間で揺れる日常を調整してくれるのがランニングだという。釣り堀を見下ろす橋や活版印刷の工房に寄り道しながら、ランニングパックと一緒に、詩の「種」と出会うための東京の余白を見つけにいく。そんなループランを通して見えてきたのは「旅するように走る」という新しいランニングの楽しみ方だった。
コース紹介
距離:7km
- ジョグリス
- 新見附橋
- 市谷の杜 本と活字館
- 弁慶橋
- 西洋菓子しろたえ
主な立ち寄りスポット
−五十嵐さんにとってランニングってどういう存在ですか?
いまはモデルの仕事と、趣味で続けている詩作が暮らしの主軸になっていて、その2つのバランスを取ってくれるのが4年ほど続けているランニングです。思考も整理しつつ、体を整えるという意味合いが強いです。走っていると、頭がどんどんクリアになって、見ている景色も細やかに分解されていく。その感覚が詩を書く上でもすごく大切なんです。
−詩集も出されてるんですよね?
そうですね。自費出版で表紙は活版印刷にしたので、今日のループランで活版印刷の現場を見ることができてとても嬉しかったです。
−走りながら詩のことを考えたりもするんですか?
詩の種になるようなことが思い浮かんだりすることはけっこうあります。走っていると、自分の身体にどんどん意識が向いていくので、外の世界を眺めながらも、その場所に自分が属していない感覚があります。内と外というものを同時に意識することができるので、詩作に関しても良い状態になります。あとは、走っているときって、ある意味、日常から切り離された状態になりますよね。ただ走る生き物になれるというか。そういうシンプルな状態に自分を持って行けるのもランニングの魅力だと思っています。
−今日のループはどうでしたか?
今日走ったところは、東京の中でも歴史などに触れることができる場所が多くて、素敵でした。東京ってどんどん景色が移り変わっていく街だと思うんですが、その中でも、弁慶橋だったり変わらない景色があるという、なんだか不思議な懐かしさを感じるコースでした。
−五十嵐さんが前から行きたかったという活字館もループに組み込んでありますが、この場所はやはり詩の繋がりから?
そうですね。本とか製本が好きなのもありますし、活字そのものに昔から惹かれていました。Googleマップを見ていたら、活字館を発見して、行ってみたいと思ってたんです。詩とランニング。自分の中でいま大切な2つが組み合わさっていて、ランってこんなに自由にいろんな所に行って良いんだなという発見もありました。
−普段は家の近所を走ることが多いということでしたが、いろいろ巡るランも楽しいですよね。
西洋菓子しろたえも前から行ってみたかった場所で、ランとなにかを組み合わせると、こんなに楽しいんだなって。とくに東京だといろんなご褒美を作れるので、こういう走り方に向いてますよね。
−今日のループで一番印象的だった場所はどこですか?
釣り堀が見える弁慶橋ですね。のんびりと釣りをしている人たちを眺めながら走っていると、なんだかとても穏やかな気持ちになれました。東京って、当たり前なんですけど、いろんなことをしている人たちがいますよね。仕事中の人もいれば酔っ払っている人もいる。そういう雑踏の中を走っていると、どこか自分だけが切り離されたような感じがして好きなんです。
−普段はランベルトを使っているということでしたが、今回ランニングパックを使ってみてどうでしたか?
ベルトだと水分とかはあまり持って行けないので、容量の大きさは魅力的ですね。途中で背負っているのを忘れてしまうくらいフィット感も良いですし、今回のループランにすごく合っていると思いました。
−ランニングパックを取り入れることで、ランニングというものが、五十嵐さんの中でどう変化すると思いましたか?
電車でどこかまで行って、そこから走るということもやってみたいです。ランニングパックがないとどうしても体力に合わせて距離や行き先などを制限してしまうんですけど、ランニングパックがあることでそういうハードルがなくなっていくんだなと気付きました。自分が普段行かなそうな場所とか、地図でみて気になった場所とか、ランニングしながら探検してみたいです。あとはローカルバスを乗り継がないと行けないような場所でも、ランニングパックがあれば走って行けますよね。普段のルーティンとしてのランニングとはぜんぜん違う、旅するように走ることができるようになることが、私にとってのランニングパックの一番の魅力です。ランニングは駆け抜けていけるからこそ、滞在する旅とはまた違った自由さだったり、楽しさがあると思うんです。ランニングパックはその範囲をもっと広くしてくれる、そんな存在だと思います。
五十嵐ソフィー
福井県生まれ。2018年よりモデルとして活動を開始。2020年、「ことば遊び」として詩作を始め、猫への憧れを綴った作品をきっかけに創作を続ける。2021年にはmaco marets「Nagi (feat. ggoyle)」のミュージックビデオに出演し、本人との詩のセッションも行った。2023年には渋谷・zakuraで詩の個展「さよ(う)なら展」を開催し、散文集『本能的オ・ルヴォワ』を部数限定で発表。同年11月に第一詩集『さよ(う)なら』を刊行。