日々の生活の中で触れたものや感じたことなど、一つ一つが重なり調和することでそれぞれのスタイルとして表れる。毎日欠かさず履くシューズはそんなスタイルを足元から支えてくれるものだ。
クリエイティブなシーンで活躍するアーティストやクリエイターへのインタビューを通じて、生活や仕事におけるSalomon Sportstyleとの関係を紐解きながら、確固たる芯をもったスタイルに迫る企画『Be Creative / Be Active』。第1弾を飾るのは、THE OTOGIBANASHI’SやCreativeDrugStoreの中心人物としても活躍するラッパー、BIM。


BIM (アーティスト)

1993年生まれ。東京と神奈川の間出身。THE OTOGIBANASHI’SやCreativeDrugStoreの中心人物として活躍する。落ち着いたフローに乗せられた独自のワードセンスが多くのヘッズたちを魅了し、また飾ることなく等身大の自分を貫くスタイルを映したファッションにも注目が集まる。

価値観の変化がスタイルを育む

価値観の変化がスタイルを育む

3/3(金)にKT Zepp Yokohamaで行われたBEATCHILD。JP THE WAVYやkZmなど錚々たるメンツが揃うこのライブにBIMも出演すると聞き、舞台裏に密着した。

フランクに挨拶を交わし立ち去る彼の足元を見ると、愛用するSalomonのスニーカーを履いていた。
印象的だったのは、楽屋で仲間たちと談笑するかのように、ステージ上でもお客さんと楽しげにコミュニケーションを取る姿。ライブもプライベートも全てが地続きでつながっていると語る彼は、どのような姿勢でクリエイションと向き合い、そして仕事や生活の中でSalomon Sportstyleはどのような立ち位置にあるのだろうか。

後日、インタビューのため彼の地元近くの二子玉川のカフェにて待ち合わせをしていると、予定通りに彼は愛車とともに颯爽と現れた。

― 最近車を買ったそうですね。

そうっすね。最近は基本的に車移動が多いですね。


― 車の中で聴いてる音楽とか、今の気分について教えてください。

最近出た新譜とかを聞くことが多いですね。ここ何日かはslowthaiの新譜を聴いたり、Skrillexがシングルで何曲か出してたからその辺を聴いたり。あとはSoundCloudで見つけたダンス系の曲とか。今は気分的にUKが多いかもしれないです。

― 子どもの頃からヒップホップのカルチャーにどっぷりハマってきたんですか?

そうですね。中学の頃はヒップホップとかレゲエ以外は聴いていなかったですね。ほんと凝り固まってたんですよ。2000年代に流行った打ち込みのヒップホップとか、サンプリングミュージックは全然聞いてたんですけど、ギターの音が入ってるものとか、机の上で完結してない音楽はなんとなく避けていました。ファッションに関してももう死語になってるB系みたいな感じで。あと、モバゲーってあったじゃないですか。あれってアバターの服装とか全部選べたから、キャップは曲がってたらダサいとか、もうブリンブリンにして。全部がB系でなきゃダメっていう風な感じでしたね。

- 今のBIMさんのスタイルに至るまでに、考えが変わるきっかけとなった出来事はありましたか?

中3くらいからは考え方が変わりはじめました。友達のバンドにストレンジマシーンっていう凄いかっこいいバンドがあって、そこのドラムが今はD.A.N.っていうバンドのドラムで同級生なんですけど、彼らのライブを見に行ったらバンドなんだけどMPCを使ってライブやったりしてて。そこら辺からいろいろと考え方が変わっていったかな。今ではヒップホップとかレゲエだけじゃなくて、ダンスミュージックとかいろんなジャンルを聞くしね。でも昨日はカセットテープで昔のMighty Jam Rockのミックステープを聴いたりしてました。

日常を彩る偶然のストーリー

日常を彩る偶然のストーリー

― BIMさんは若者たちの間でファッションアイコンとしても注目される存在だと思います。今回はSalomonのスニーカーに関するインタビューということで、普段靴を選ぶときに重視するポイントなどがあれば教えてください。

まず根本として俺はいわゆる「靴好き」ではなくて、レアなスニーカーとかにはあまり興味がないんです。ラッパーとかにはそういうのに結構詳しい方とかたくさんいると思うんですけど、例えばこのジョーダン1が高いとか、俺はそういうの全然知らなくて。靴に関しては自分の好みでしか買ったことが無いんですよね。あとは、そのときのモードにハマったら同じものをずっと履いてるかもしれないです。靴もそうだし、ジャケットとかパンツもシーズン通して結構同じものを着てることが多いですね。地味というか、ちょっと落ち着いた感じのものに惹かれます。


― 今XT-QUEST 2を履かれてますが、どんなシーンでSalomonを履くことが多いですか?

俺の生活って基本的に地続きになってるというか、普通に地元の友達と飲みに行くときもライブをしてるときも自分としては全部一緒の感覚なんですね。だからどのシーンで履くっていうのは特になくて、日常的に履いてる感じです。ほんとに最近はSalomonばっか履いてるんですよ。直近で買ったのもSalomonだし。Salomonだけで10足くらいは持ってると思うんですけど、今履いてるものは他のモデルよりもちょっとゴツい感じが良くて、このワンポイントのピンクの感じが可愛いんだよね。めっちゃ動きやすいし。久しぶりにライブで革靴とか履いたりすると超辛いんですよ。

― 最初にSalomonを履いたのはいつ頃ですか?

3、4年前とかですかね。普通にアウトドアショップみたいなとこで買いました。あとこれはたまたまなんですけど、俺の両親の実家が山形で、山形に住んでる親父の兄貴とドライブしてるときに「Salomon履いてんじゃん。お前が生まれる前に俺Salomonで働いてたんだよ」って言われて。性格的に意味合いを大事にしがちなんで、そういうのもあって縁を感じてるというか、俺が履く意味があるのかなと思ってます。

言葉で描く等身大の姿

言葉で描く等身大の姿

― 先ほどライブが生活と地続きにあるという話がありましたが、改めてご自身にとってライブとはどんな場所なのかお伺いしたいです。

普段SNSのタグ付けとかリポストで俺の曲をあげてくれてる人たちもいますけど、そうじゃない人たちとも会ってコミュニケーションを取れる場所って感じですね。俺がつくってる曲って自分がこういう曲をつくったらカッコいいなとか、こういう曲をつくりたいなとか思ってつくってるから、それを好きって言ってくれる人たちはたぶん俺と趣味が近いと思うし、その時点で1つの共通点があるから、俺の曲ではあるけど、そういう人たちと楽しい曲で一緒に遊ぼうぜみたいな感覚かもしれないです。特にクラブとかでやるときはその感覚がめちゃめちゃ強いし、目の前にお客さんがいるときとかは本当にお客さんと一緒になって遊んでるみたいな感覚なんですよ。

― 曲をつくるときのアイディアはどんなときに浮かんできますか?

俺がやってる音楽って、自分自身が別に強い感じでもないから、劇的ななにかを語るっていう歌詞じゃないんですよね。みんなが思ってるはずだけど言語化してない言葉をなるべく歌詞にして、それを聴いた人が「そうそう俺もそう思ってた」みたいな感じの歌詞を書くことをやりたいんです。だから、普通に地元の友達と焼き鳥屋で飲んでて、次の日の朝二日酔いのときに、「あ、昨日話してたあのことを書こう」みたいな感じで、そういうときにアイディアが浮かんできたりします。ヒリヒリした曲とかを聴きたいときは俺じゃなくて別の方を聴くと思うし、俺がやりたいことはそういう普通の生活の中にある一コマを言語化するっていうことなんです。

― オンとオフがそこまでない感じですか?

そうですね。レコーディングするときとかは、もう3、4時間くらいずっと机の前に座ってることもあります。作業部屋があるんですけどその部屋だけタバコ吸えるようにしてて、だから雀荘みたいな匂いがするんですけど、そこでずっと海外の音楽とか聴きながら、日本の新譜も聴きながら、ひたすらやる気が出るまで待つんです。なにをしたら切り替わるとかあんまなくて。よくあるじゃないですか、近所を散歩したりとか。そういうカッコいいのは無くて、「あっ、今俺いけそう」みたいなモードになったらはじめる感じですね。モードに入るまでが遅いからずっとそれを待つって感じ。でも恥ずかしながら、なんか植物みたいですけど、天気が良かったりすると作業が捗ったりします。だから最近温かくなってきて、結構音楽づくりが調子いいかもしれない。

ストリートから生まれるカルチャーは“リアル”であるからこそ人々を魅了してきたわけだが、自分の生き様を力強く歌い上げる姿がラッパーのパブリックイメージだとすれば、BIMのスタイルはそれとは少し異なる。彼にとってのリアルとは、気心の知れた地元の仲間たちと居酒屋で語らう瞬間であり、派手な服を着るわけでもなく、自分を強く見せようと取り繕うこともしない。等身大の姿に多くの人は共感を覚え、リリックやスタイルに魅了されるのだろう。アウトドアとストリートを往来しながら独自の在り方で進化するSalomon Sportstyleは、プライベートな日常とクリエイションをつなぐ架け橋として、そんな彼のライフスタイルを足元から支えている。


FOCUSED ITEM

XT-QUEST 2

2000年代初めのデザインと現在のノウハウを融合した XT-QUEST 2。
トレイルで優れたトラクションと安定性を発揮するボトムユニットと、
伝統的なハイキングスタイルを彷彿させるヌバックと丈夫なトゥキャップを備えたアッパーで作られている。


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