日々の生活の中で触れたものや感じたことなど、一つ一つが重なり調和することでそれぞれのスタイルとして表れる。毎日欠かさず履くシューズはそんなスタイルを足元から支えてくれるものだ。クリエイティブなシーンで活躍するアーティストやクリエイターへのインタビューを通じて、生活や仕事におけるSalomon Sportstyleとの関係を紐解きながら、確固たる芯をもったスタイルに迫る企画『Be Creative / Be Active』。第二弾として登場するのは、〈パープルシングス〉のデザイナー、そしてモデルとしても活躍するKIKUNO。
“自分らしさ”との共通項
“自分らしさ”との共通項
4月某日、事務所へと招いてくれたKIKUNO。
終始柔らかな物腰で、誰とでもフラットに接する姿が印象に残っている。事務所の中に入ってみると、玄関には愛用しているSalomonのスニーカー、そしてその奥の部屋には彼女の根底に流れるカルチャーが垣間見えるモノで溢れていた。生活や仕事においてSalomonのスニーカーがどのような立ち位置にあるのか。取材を通じて浮かび上がってきたのは、彼女が貫く“自分らしさ”とSalomon Sportstyleとの共通項。まずは学生の頃に触れてきたファッションやカルチャーについて話を聞いた。
ー ご自身のInstagramや〈パープルシングス〉でのモノづくりなどを拝見していると、ストリートカルチャーがバックグラウンドに根付いてることが想像できるのですが、どんな学生時代を過ごしてきたのでしょうか?
幼少期の頃から男の子の友達がすごく多かったこともあって、スカートじゃなくてパンツを穿いたり、スニーカーが好きだったり、自分が一番動きやすくて楽な格好が好きでしたね。中学生ぐらいの時から周りにラップを聴く子が増えてきて、自分もヒップホップの音楽が好きになったり、今でこそY2Kって言葉がありますけど、その当時のカルチャーに影響された部分があるのかなと思います。サンフランシスコに住んでたこともあったんですけど、その時は周りにスケボーを移動手段として滑ってる子とかが多くて、良いなと思って自分もやってみたり、パークに遊びに行ったりとかしてましたね。
ー 〈パープルシングス〉を立ち上げた経緯について教えてください。
ブランドをはじめたのは2015年ですね。当時の日本ではまだオーバーサイズとかメンズライクっていう言葉がそこまで浸透していなかったんですよ。女の子はタイトな服を着るのが普通って感じで。Tシャツとかスウェットが好きな自分にとっては着たい洋服があんまりなかったので、それじゃあ自分でつくってみようと思ってつくってみたのがきっかけです。写真の専門学校に通っていたので、特に服づくりを学んでいたわけではありませんでした。本当に簡単な手描きのグラフィックをつくって、Tシャツやスウェットにプリントしてみたっていうところがはじまりでしたね。
ー〈パープルシングス〉では自分が着たいと思える服をつくるというスタンスでモノづくりされていると。
そんな感じですね。2018年くらいからは展示会もやるようになって、BEAMSの店頭とかにも置いてもらったり、自分でも予想してなかったところに届くようになりました。今では〈パープルシングス〉は趣味に近い感覚になってきてるかもしれないです。コロナをきっかけにスローペースでやるようになりましたね。今は他のブランドの仕事に集中しているので。最近は自分の周りでイケてるグラフィックをつくってる友達とか海外で出会った友達とかにデザインを頼んで、年に1、2回Tシャツをつくって、ポップアップをやってみたいな感じでのびのびとやってますね。
ー 昔から洋服の趣味は変わっていないんですか?
動きやすくて楽な格好が好きというのは昔から変わんないですね。そこだけがずっと変わんないって感じです。30代になってもう大人になったので、服の合わせ方が変わったり、ちょっと良いバッグを持ちたいとかそういうのはもちろんありますけど、ベースとなる部分はあんまり変わっていなくて、ある種それが自分らしさでもあるのかなと思います。
ー そういった動きやすさや快適性で服を選ぶというところは、Salomonのスニーカーを選ぶ理由にもつながってますか?
それはあると思います。サロモンを一番最初に履いたのはたぶん3年前とかですかね。雨の日用にGORE-TEXのスニーカーが欲しいなと思って探してて、そしたらSalomonに辿り着いて。最初に買ったのは全然ファンシーなモデルとかではなかったんですけど、これはめっちゃ歩きやすいかもってなって、そっから何足か買ってみたりしましたね。
ー やはり最初は歩きやすさというところに惹かれたんですね。
そうですね。はじめはスタイルってよりかは利便性に惹かれて、天候とかシチュエーションに合ったときに本領を発揮してくれる靴だなと思って履きはじめた感じでした。私は徒歩で移動することも多いので、歩きやすくて疲れないのは絶対条件。歩きやすくて快適性が高く、普段のスタイルにも違和感なく合わせられるデザイン性っていうのはSalomonならではかなと思っています。
“あちら”から“こちら”を見る
“あちら”から“こちら”を見る
ー 1月に展示会をされてましたが、最近は少し落ち着きましたか?
そうですね。1年以上ずっとそれに向けてやってきてたのでちょっとインプットの時間が必要だなと思って、この前1ヶ月ぐらいヨーロッパに行ってきました。
ー 今も定期的に海外には行かれてるんですか?
旅行に行くのは結構趣味かもしれないです。動きたい時に動けるようになってきたので、今度はもうちょっと外から見た東京とか、外側からの視点をもちたいなと思ってて、最近は積極的に海外に行くようにしてます。あっちでも自分の活動を知ってくれてる人たちが結構いて、それには驚いたし、嬉しかったですね。単純にみんな東京のことが好きで、東京ってめっちゃクールだよねって言ってくれるし、単純にそれにアガるし、やっぱり東京ってクールな街なんだって再認識できるというか。ずっといると分かんなくなっちゃうし、ちょっと飽きてくるじゃないですか。だから1回外に出て、今一度自分と向き合う時間をつくってゆっくり考えるみたいな、日々の生活や仕事に追われないようにする時間を取った方が良いなと思って、最近は積極的に外に出るようにしてますね。
ー どの辺の国に行くことが多いんですか?
この前は5年ぶりぐらいにロンドンに行ったんですけど、コロナ禍で結構変わってました。音楽のシーンとかすごく面白くなってきてるし、ラップもカッコいいんですよ。パリとかはイケてる古着屋が多くて、昔のイッセイミヤケとかギャルソンとか、日本のモノを置いてるところが多かったです。そういう“あちら”から見た“こちら”の視点でファッションと向き合ってみるのも面白いなって思いましたね。またアメリカとはちょっと違ったテイストを感じれたので、それはすごい良かったです。
ー 今の時代的に、海外に行くと日本を悲観的に見る人が多いのかなという印象だったんですけど、KIKUNOさんにとっては、1回外に出てみたからこそ日本の良さが浮かび上がってきたということですね。
もちろんちょっと悲観的になる部分もあるんですよ。やっぱり年功序列だなとか、代謝が悪いなって思ったり。でもそこで悪いなで終わるんじゃなくて、自分は東京出身で東京をレペゼンする身として、どうやったらもっと良くなるとか、自分たちの世代からどう変えていけるのかとか、そういうことを最近はすごく考えるようになりましたね。東京にも面白い人たちはたくさんいるし、後輩の子とか若い子たちとかがどんどん出ていけるようになったら良いなと思います。なんでもポジティブに、平和に、バランスを取ろうとするんですよね。天秤座なので。
ー 下の世代の子たちと一緒に仕事することも多いんですか?
割と年下の友達が多いのかなと思います。最近はそれがなんとなく役目のように感じていて。フックアップする側に回るというか、まだ見つかってないけどカッコいいことをしてる子たちを後押ししてあげたいっていう気持ちになってきました。今度仕事も一緒にできたらいいね〜とか話しながら、みんなとカジュアルに仲良くしてもらってるっていう感じですかね。
強い想いをもって興味のある世界に飛び込んだとしても、時が経つにつれ、知らず知らずのうちにその世界の当たり前に流されてしまうことはよくあることだ。自分にとって快適な場所に身を置いてばかりでは考えが凝り固まってしまう。新しいなにかを生み出すためにはKIKUNOのように、意識的に外からの視点を取り入れ、自分自身の枠からはみ出るような姿勢が必要なのかもしれない。Salomon Sportstyleを履き、新たなクリエイションを生み出すために行動しつづけるKIKUNOの姿勢に触れることで、単なるトレンドだけではない、カルチャーやスタイルを下支えするSalomon Sportstyleの姿が浮かび上がってくる。
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