日々の生活の中で触れたものや感じたことなど、一つ一つが重なり調和することでそれぞれのスタイルとして表れる。毎日欠かさず履くシューズはそんなスタイルを足元から支えてくれるものだ。クリエイティブなシーンで活躍するアーティストやクリエイターへのインタビューを通じて、生活や仕事におけるSalomon Sportstyleとの関係を紐解きながら、確固たる芯をもったスタイルに迫る企画『Be Creative / Be Active』。第四弾を飾るのは、アーティストSHINKNOWNSUKEとFACEの2人によって結成されたアートユニットUND。
ファーストコンタクトで共鳴したスタイル
日常に溶け込み感性を刺激する
『Be Creative / Be Active』では、これまでさまざまなアーティストやクリエイターへのインタビューを通じて、彼らのスタイルとSalomon Sportstyleの関係性を紐解いてきた。第四弾は、Mt.TAKAO BASE CAMPでのアート展やコラボレーションによるスノーボードの製作など、Salomonとの親交も深いアートユニットUNDをフィーチャー。個人のアーティストとして、ユニットとして、2つの軸でアートと向き合う彼らのスタイルに迫る。まずは、2人が出会い、UND結成のきっかけともなったオーストラリアでの出来事について話してくれた。
ー まずは、お2人の出会いとUNDを結成するまでの経緯についてお伺いしたいです。
SHINKNOWNSUKE (以下 S): 最初はオーストラリアだよね。
FACE (以下 F): そうですね。もともと代々木八幡にあるSUPPLY/BACKDOORというお店の方とそれぞれが繋がってたんですけど、SUPPLYさんがオーストラリアのメルボルンにあるDOOMSDAY.というお店でポップアップをやるという時に、洋服だけじゃなくてアートも一緒に絡められたら良いよねということで、僕ら2人に声をかけてくれたんです。その時が初めましてでしたね。
S: そうだね。面識はなかったんですけど、展示とかは見に行ったことがあって以前からFACEくんの存在は知ってて。僕にとっては超有名な人って感じでしたね。
F: このくだりはいつもあるんですよ(笑)。
S: SUPPLYさんに声をかけてもらったんですけど、FACEくんもいるって聞いて、え?ってなって。こんな有名な人と一緒なんて、、みたいな。正直最初は怖い人なんじゃないかと思ってたんですよ。だから一緒に行くことが全然想像できなくて。
F: 逆に僕にとってはSHINさん(SHINKNOWNSUKE)は先輩なんで、そこの上下関係みたいなところはなんとなくありましたよ。でもあっちに行ったら割と早い段階からかなり仲良くなりましたよね。最初に話したときにすごく気さくな人だなって印象で、この人となら何か一緒にできそうな気がするっていう感じがありましたね。
S: 僕も勝手にイメージしてた人と全然違くて、すごい人当たりが良かったんですよ。やっぱ怖い感じだとこっちまで怖くなっちゃうんで。人と人ってファーストインパクトが超大事じゃないですか。僕はそれが合わないなって思うと多分絶対合わないんですよ。だけどそういう嫌な感じが全くない人で、この人となら大丈夫だなって思って、そこから一気に仲良くなったよね。
F: SUPPLYさんのポップアップではそれぞれがZINEとか作品を持って行って展示したんですけど、オーストラリアの滞在も結構長くて、そしたらいきなり話の中で何か2人で作品でもつくってみたら?みたいな流れになったんですよ。俺と一緒に?大丈夫ですか?みたいな感じだったんですけど、とりあえずやってみるかって言って、画材屋さんで紙を買って。
S: そんなこと考えてもなかったし、本当に下書きも何もない状態。みんながポップアップで賑わってる中、僕ら2人だけは部屋に戻ってね。
F: 今でも忘れないですけど、最初は紙を用意して、「お先にどうぞ」「いやいや、どうぞ」みたいな流れで始まりましたよね(笑)。
S: ひたすら譲り合うっていう。(笑)
F: でも2人とも乗りはじめたら早かったですね。彼がこう描くなら僕はこう描いていくみたいな感じで、どんどん作品が出来上がってきて。
S: そういうことを今まで体験したことがなかったんですよ。普段は自分が思ったことを描いてますし、2人でやってるとバランスが崩れちゃったり、思ってることも言えなかったり、ちょっと合わないなってこともあったりするんですけど、FACEくんとはそれが全くなくて。好きな色も近いですし、絵のラインのテイストとか細かい部分まですごく感覚が近いんだなって思いましたね。彼が好きにやらせてくれたっていうのもすごく大きかったです。2人で作品をつくるのって今まであまり気持ち良いって思ったことはなかったんすけど、FACEくんとはめっちゃ楽しいなって思って。
F: その1年後に、SUPPLYさんとまた同じメンバーで次はベルリンに行くってなって、その時は日本で2人の作品をつくって持っていきましたよね。その頃からちょこちょこ2人でやることが増えてきて、今に至るって感じです。
信頼の上に成り立つ実験的なアート
新たな表現を模索する飽くなき探究心
ー アートは個人の中にある想いや考えが投影されるものだと思うんですが、お2人で作品をつくる時はどういったアプローチで制作されているんですか?
F: いろいろと手法は試しているんですけど、最初の頃はなんとなく僕のキャラクターがいて、それを見てもらって何か付け足してくださいって感じでやってたんですけど、最近はもうよ〜いドンで同時にはじめてますね。僕らの中で特にNGはないんですよ。SHINさんがOKならOKだし、僕がOKならOKだしみたいな感じで。だから確認もなく進んでいって、気が付いたら作品が出来上がってる感じですね。
S: 信用しきってるからこそできることだと思います。
F: 2人のユニットですけど、UNDっていう1人の人というか、そんな感じになったら面白いかなって思ってます。
S: 先が見えない状況でスタートするんで最初は不安なんですけど、見切り発車でやっても結構なんとかなるよね。結局最終的には良いのができたねってなってるし。毎回時間が無いんですけど、切羽詰まった時の方がアイディアが出てきたりすることもありますしね。そういう制作の工程も含めてUNDの楽しいところかなと思います。
ー それぞれ個人で作品をつくるときとUNDとして作品をつくる時は、やはりご自身のスタンスとして違いはあるものですか?
F: 僕は明確に違うかもしれないです。SHINさんはどうですか?
S: 違いはあるにはありますね。だけどはっきりとこう変えてますみたいなのはあまりなくて。おそらく感覚的にこれはUNDだなっていうのはあるんですけど、そこまで深く考えてやってないですね。
F: 僕の場合、個人の作品はガチガチに固めてつくるので、目指してるところが決まった上でつくっていくんですけど、岡本太郎がアートは爆発だって言うように、単純に衝動で描いていくことをやりたいという想いがあって、逆にUNDでは自分がもってるものを衝動的に吐き出す場所みたいな感じでやってますね。だからテイストも個人的には違うと思ってますし、気持ちのもって行き方が全然違いますね。
S: 個人でやってると怖くて実験できないことってあるんですけど、UNDならそれができるみたいな感覚はありますね。例えば段ボールを使った作品をつくったんですけど、これはUNDじゃないと絶対やってないと思います。継ぎ接ぎでいいからとりあえず貼っていって、そこに色を付けたり破って表情を付けてみたりとか、そういうことをやっていくうちにこれが僕らのスタイルの1つにもなりましたね。捨てられるはずだったものを新たなものに昇華させるというか、今の時代に合ってますし、これはこれで良いアイディアだったなって思います。
ー お2人にとって、UNDがある種の実験の場のようになってるんですね。
S: そうですね。こういう色にムラがある感じとか、スプレーが作品の上に乗っちゃってる感じとか、このライブっぽさは普段の自分たちではそこまで表現できないと思うんで、そういったところでUNDの作品を楽しんでもらいたいなと思います。
両者を繋ぐクリエイティブな感性
ー 過去にコラボレーションのスノーボードを制作していたり、お2人はSalomonとの関係性も深いと思うんですが、もともとブランドとしてお好きだったんですか?
F: そうですね。数年前にヨーロッパに行ってDOVER STREET MARKETとかをみてたとき、SHINさんがSalomonめっちゃ良いんだよねって話してたのを覚えてます。僕も最近よく見るなって思ってて。
S: その当時はちょっとまだ身の丈があってないような感じがしてたんですよ。でもカッコいい人たちがだいたい履いてて、なんとなく憧れはずっとあって。履きはじめたきっかけは山だったよね?
F: そうですね。買おうか迷ってる時期に登山しに行くってなって一緒に靴を見てたときに、そういえばSalomonって登山のシューズあるよねってなって、そこで初めて2人でSalomonの靴を履いて山に行ったんですよ。
S: 割と僕らはリアルなアプローチだったよね。お洒落っていうよりも山がきっかけで。そこからSalomonをよくチェックするようになって、街履きの靴をどんどん買うようになりましたね。当時はまだ履いてる人もそこまで多くなかったし、あの人は何履いてるんだろうって思われてる感じが良くて。
F: あとは配色が僕らの感覚とすごく近くて、その辺も絶妙に惹かれる要因だったなって気がします。
S: 色がすごく良いよね。あとはデザインも。他に無いデザインだし、素敵だなって思います。毎シーズンチェックしてますね。
ー たしかに、配色はSalomon Sportstyleの特徴的な部分かもしれないですね。
S: 最近だと色がめちゃくちゃ良いねって話してたのはMM6のコラボのやつだよね。
F: 2人で買いに行きましたね。パルコでやってたポップアップに2人で行って、もう売り切れてるだろうなって思ってたんですけど奇跡的にまだ2足残ってて、僕らが買って完売したんですよ。
S: 2人でめちゃくちゃアガッたよね。あれはやっぱ配色もデザインも完璧でしたね。Salomonさんは毎回デザインにサプライズがあるなって思います。
ー 今でも普段からSALOMONのシューズを履かれてますか?
F: 履いてますよ。最近も山用のやつを1足ゲットしました。あと最近はモックシューズをよく作業中に履いてますね。これ履いたらめちゃくちゃ良くて。踵を踏んでも履けるし、普通にも履けるし。しかもこうゆうシューズなのにちゃんとランニングシューズのようにも見えるし、それが結構良いなと思います。旅行とか出張行くときとかにも重宝してます。
ー 山で言うと、2021年にatmosとSalomonが開催した高尾山のMt.TAKAO BASE CAMPでのアート展にお2人も参加されていましたよね?
F: そうです。あの時はatmosさんに声をかけてもらって。あれがSalomonさんとおつき合いさせていただくきっかけになりましたね。
S: マジで最初聞いた時はびっくりしましたね。まさかここまで続くとは思わなかったです。
F: まさかコラボでスノーボードまでつくれるとは思いませんでしたね。
S: でもまだまだ野望はあるよね。
F: ですね。最終的にはやっぱ靴をつくりたいんですよ。色別注をつくったりして。実現できるようにこれからも頑張っていきたいですね。
SHINKNOWNSUKEとFACEが口を揃えて語っていたのは、1人ではなく2人だからこそ表現できるアートがあるということ。アーティストとしての感性が近いだけでなく、取材中も兄弟のようにコミュニケーションを取っており、2人の仲の良さが深く印象に残っている。UNDを根底から支えているのは、お互いに相手を思いやる心と深い信頼関係だ。加えて登山をたしなむ彼らにとって、Salomon Sportstyleもまた2人を繋ぐ架け橋の1つとなっているのだろう。仕事だけでなく多くの時間を共有し、根底から共鳴するUNDの関係性に触れることで、優れたクリエイティブの背景には人と人との深い繋がりが存在するということに改めて気がつくことができた。